まだ残っています
私は高校から大学までずっとサッカーをしていた。スポーツの世界では、せんぱいの意見や命令に対して 「間違っています」「いやです」 と言うことは難しい。納得できないことでも 「はい、わかりました」 と言って聞かざるを得ない。そんな息のつまりそうな関係が受け入れられず、やめようと思ったこともあった。それでも、長男がサッカーをしたいと言ったときには、礼儀正しい人間に育ってくれればいいと考えて、思うようにさせた。
あるとき家に帰ると妻が私に、長男が食事もせず自分の部屋から出てこないと言う。めったにないことなので気にかかったが、けんかでもしたのだろう。もう中学生なんだから、 自分で何とかすればいいと思って様子を見ることにした。シャワーをすましてビールを飲んでいると、「ちょっといい」 と言って長男が姿を見せた。「晩ご飯か」 とたずねる私に、「ううん。サッカーやめたいんだ」 と言って、横にすわった。
せんぱいとの人間関係が我慢できないと話す長男は、 練習に納得できないので、その練習が何の役に立つのかせんぱいにたずねたのだそうだ。そうすると、詳しく説明もしてくれず、 「いやなら、やめろ」 と言われた。これまでも何回かそんなことがあった。気安く口も利けない、自分の意見さえ聞いてくれないような人間関係はもういやだと言う。長男に、「サッカーしようと自分で決めたんだから、続けるにしろやめるにしろ、自分で決めればいい」 と話して、部屋にもどらせた。
スポーツの世界に私の学生時代と変わらない上下の関係が存在することに、少しおどろいた。会社では、確かに制度としては、 肩書に上下関係はあるが、 昔のような厳しいタテの関係は、すっかり影をひそめた。上司は部下と意見を交わした上で、 それを反映して仕事を進めるのでなければ、部下の反発を買って、いっしょに仕事ができる関係を築くことはできない時代だ。それでも、長男がサッカーで経験したことは、これから先、社会に出て生活するのに役に立つ経験だったのかもしれない。
あるとき家に帰ると妻が私に、長男が食事もせず自分の部屋から出てこないと言う。めったにないことなので気にかかったが、けんかでもしたのだろう。もう中学生なんだから、 自分で何とかすればいいと思って様子を見ることにした。シャワーをすましてビールを飲んでいると、「ちょっといい」 と言って長男が姿を見せた。「晩ご飯か」 とたずねる私に、「ううん。サッカーやめたいんだ」 と言って、横にすわった。
せんぱいとの人間関係が我慢できないと話す長男は、 練習に納得できないので、その練習が何の役に立つのかせんぱいにたずねたのだそうだ。そうすると、詳しく説明もしてくれず、 「いやなら、やめろ」 と言われた。これまでも何回かそんなことがあった。気安く口も利けない、自分の意見さえ聞いてくれないような人間関係はもういやだと言う。長男に、「サッカーしようと自分で決めたんだから、続けるにしろやめるにしろ、自分で決めればいい」 と話して、部屋にもどらせた。
スポーツの世界に私の学生時代と変わらない上下の関係が存在することに、少しおどろいた。会社では、確かに制度としては、 肩書に上下関係はあるが、 昔のような厳しいタテの関係は、すっかり影をひそめた。上司は部下と意見を交わした上で、 それを反映して仕事を進めるのでなければ、部下の反発を買って、いっしょに仕事ができる関係を築くことはできない時代だ。それでも、長男がサッカーで経験したことは、これから先、社会に出て生活するのに役に立つ経験だったのかもしれない。